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バックナンバー H25.第4.5.6講

第4講 テーマ 「シビックプライドの醸成から始まる地域の再生」                  (2013 OCT. ちもんけん VOL.85)

2013年7月19日(金)13:30~16:30 名古屋栄ビル・特別会議室(12階)

「シビックプライドの醸成から始まる地域の再生」

東京理科大学理工学部建築学科 准教授  伊藤 香織 氏

 シビックプライドとは、都市に対する愛着、誇りを意味します。日本語の郷土愛とは少し違ったニュアンスを持ち、ここをより良い場所にするために自分自身が関わるという当事者意識を伴う自負心といえます。19世紀の英国では、産業革命を経て多くの都市が勃興し、中産階級が都市の主役として踊り出るとともに、市役所や音楽ホールなど市民のための建築を立派に造って文化的背景を整えることを街の誇りとして都市間競争が繰り広げられました。

シビックプライドは心の問題であり、そのためには都市と自分との関係を確認し、誇りを共有するために、街の中でそれを見たり、触ったり、体験したりできる「かたち」に表すそのための広義のデザインが必要です。

「住民が関わったと感じられるデザインを行う」、「再生されていくまちを住民にとっての出来事とするプロセスをデザインする」、「まちのリテラシーに支えられる環境整備、デザインの手を抜かない」、「他者の視点から評価してもらう」、「まちで自己実現すること」、「まちを愛すると同時にまちから愛されていることを実感すること」など、様々な視点からシビックプライドを醸成するまちづくりが世界各地で進められています。

「みなと再生から始まる“賑わい”と“ときめき”の中心市街地づくり」

今治シビックプライドセンター 事務局 三谷 秀樹 氏

 本事業は、しまなみ海道の開通に伴って衰退した今治港の再生を目的に市主導で始まったものです。市民が港再生事業に関わるためにICPC(今治シビックプライドセンター)が生まれ、2008年に再生事業プランのコンペで原広司さんを中心とするグループの提案を採用。その後、コンサルタントの離脱やリーマンショック等に伴い事業見直しを迫られました。2011年からは事務局(市民)主導で「新しいみなとと賑わいを創るのは自分たち」という共通の意識のもとにイベント等を開催、ICPCの仲間づくりを進めています。

 みなと再生のテーマは、「交通の港から交流の港」です。港は今治の街と瀬戸内海の島々を結ぶ起点です。「いまばり海の駅」ワークショップでは、学生たちの提案をもとに、お金を払っても来たくなる観光の仕組みも作りたいと思っています。学生たちとはフェイスブックで繋がっており、ワークショップなどへの参加を通してこれからの活動の中心人物になってくれたらいいと思っています。我々が始めた事業は、「みなと再生」に止まることなく大きく広がっています。お客様としての立場から当事者意識を醸成する、実践者をつくるそのことがシビックプライドだと考えています。

第5講 テーマ 「民間事業を原動力としたまちづくり ― 新たな官民連携の形態」 (2013 OCT. ちもんけん VOL.85)

2013年8月20日(火)13:30~16:30 名古屋栄ビル・特別会議室(12階)

「民間事業を原動力としたまちづくり ― 新たな官民連携の形態」

㈱ハクヨプロデュースシステム代表取締役

いなり寿司で豊川市をもりあげ隊隊長 笠原 盛泰 氏

 青年会議所活動をきっかけに、さまざまなまちづくり、地域活性化の活動に関わってきた中に「いなり寿司で豊川市をもりあげ隊」があります。これまで「いいな、いなり寿司の日」制定や「豊川いなり寿司マイスター認定講習会」開催など地域ブランド化を進めてきました。また2010年のB-1グランプリに初出場して第6位となったときに、いつか豊川市でB-1グランプリ大会を開催したいと考えました。

 B-1グランプリは、まちおこしの熱気と楽しみあふれる食を通じたテーマパークであり、よく考えられた「まちおこし」のツールといえます。愛Bリーグ憲章にも、「売るのは料理ではなく地域です」と明記されています。

 企業人として、まちづくりにここまで関わるのは、95年続く地元の企業として存続していくことが最大の使命だと思っています。地域の発展と企業の発展の同期生、地域企業としてのシチズンシップが必要だと感じています。地域側から見たとき、地域貢献企業の存在が地域の力の差になる、そんな姿を目標にしたいと思います。

「おだわら無尽蔵プロジェクト ― 新しい公共の実践」

神奈川県小田原市企画政策課副課長 早川 潔 氏

 小田原市は神奈川県西部の中心都市です。豊かな自然や偉人たちの足跡のほか、様々な自然と交流に培われた「なりわい」などの地域資源は豊富にあるものの、十分活用されていません。何でもあるが、何もないという状況です。「荒地は荒地の力で」という二宮尊徳の言葉があります。地域資源が眠る荒地を蘇らせるのは、地域の人々をおいてほかにありません。地域のすべての人々が課題解決の当事者として、行政との協働を育てながら公共的機能を全体で担おうというのが、2009年から始まった「無尽蔵プロジェクト」です。

無尽蔵プロジェクトは、「ウォーキングタウン小田原」、「小田原スタイルの情報発信」など10のプロジェクトからなります。無尽蔵プロジェクトを可能とした要素として、新たな価値創出につながる事業領域の設定、様々な担い手の組み合わせ効果、民ならではの自由な事業展開、公共によるオーソライズ効果などがあります。荒地は荒地の力でという二宮尊徳の教えで始まった無尽蔵プロジェクトを通じて、市民と行政の役割分担による、まちづくりの新しい形の可能性を明らかとしました。今後、無尽蔵プロジェクトの枠組みがなくても、民主体による活動が展開される「新しい公共」の展開を期待しています。

第6講 テーマ 「子ども・若者が生きやすい社会の構築 ― 子ども・若者支援の課題と方策」 (2014 JAN. ちもんけん VOL.86)

2013年9月27日(金)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング・特別会議室(12階)

「子ども・若者が生きやすい社会の構築 ― 子ども・若者支援の課題と方策」

東京大学大学院教育学研究科 教授 本田 由紀 氏

 子ども・若者が置かれている状況を、少し長いスパンの社会変化の中でとらえて理解することが重要です。経済が膨らまない社会では、思うように就職はできません。これは若者個人の努力不足としてとらえるのではなく、マクロな社会構造として見る必要があります。

 家族、教育、仕事という異なる社会領域のアウトプットが、次の社会領域に循環する戦後日本型循環モデルが、90年代以降破綻しています。その影響を一番受けているのが、若者であり女性といえます。困難を生む背景として、我が国の社会保障政策、教育政策、雇用政策などの政策の問題、あるいは労働市場の問題が考えられます。

 従来の一方向的な戦後日本型循環モデルの再編が必要です。教育と企業の間における対話や双方向性のほか、家族と仕事の間におけるワークライフバランス、家族と教育の間では学校がハブとして家族を支えるといった関係も必要です。また、セーフティネットで支えられる立場から、元気になって支える側となるアクティベーションの流れがなければこの社会を維持することは難しい状況です。そのために、共に生きる対等な仲間として、支援の目的や対象者、段階に即したパーソナル・サポート・サービスの実現が求められています。

「三条市の子育て支援施策について」

新潟県三条市教育委員会子育て支援課 課長 久住 とも子 氏

 子育てにおいて、子どもの発達段階に応じていろいろな悩みが生じます。こうした問題に対応するため三条市においても福祉や教育、保健などのセクションのほか、市以外について児童相談所、医療機関、警察などの各機関で様々な支援を行ってきました。しかし、組織の縦割り、個や成長に合わせた切れ目ない一貫したサポート体制については課題があります。三条市民でもある子ども・若者に必要なサポート体制をつくるのは市の責任だという理念に立ちました。そこで生まれたのが、「三条市子ども・若者総合サポートシステム」です。

 具体的には、①教育委員会に子育て支援課を設置、義務教育(文科省)と子育て支援(厚労省)の一元化を図る。②子育て支援課のほか、児童相談所、小中学校等、医療機関、ハローワーク、警察などと情報共有する「三条市子ども・若者総合サポート会議」を設置、乳幼児から就労に至るまで、切れ目なく必要な支援を行うため、関係機関が連携して個に応じた支援を継続的に行う。③システムを有効に機能させるため、子育て支援課に「子どもの育ちサポートセンター」を設け、システム運営のハブとしての役割を担っています。