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バックナンバー H25.第1.2.3講

第1講 テーマ 国土の将来と地域の自立 (2013 JUN. ちもんけん VOL.84)

2013年5月14日(火)14:00~16:00 名古屋栄ビル・特別会議室(12階)

「国土の将来と地域の自立―先進国に相応しい安定感ある社会の構築―」

中京大学理事・総合政策学部教授 奥野 信宏 氏

 マクロやミクロ経済政策による国土、地域政策を西洋医学とすれば、人のつながりを基本においた政策は東洋医学、日本医学ともいえます。これからの国土形成、地域づくりを進める上で重要な視点は人の交流連携にあります。国土形成計画の基本戦略として議論されている、東アジアとの円滑な交流・連携、持続可能な地域の形成、災害に強いしなやかな国土の形成、美しい国土の管理と継承、これらを支える「新たな公」を基軸とする地域づくりはこうした理念を反映したものといえます。

 そこでは新しい公共が大きな役割を担います。新しい公共は、行政機関の代替や行政の補完のほか、民間領域での公共性の発揮、中間支援機能など、多様な人材、主体が必要とされています。また、先進国にふさわしい、圏域及び地域が自立した安定感のある社会を実現するためには、人の繋がりの構築が重要な鍵となります。しかし現状は脆弱であり、行政と民間の協働を実現する新しい公共の育成、繋がりの再構築が急がれます。

第2講 テーマ 「大震災に備えた住民参加による事前復興まちづくり」          (2013 JUN. ちもんけん VOL.84)

2013年5月30日(木)13:30~16:30 名古屋栄ビル・大会議室(12階)

「大震災に備えた住民参加による事前復興まちづくり」

首都大学東京 都市環境科学研究科

都市システム科学域 准教授 市古 太郎 氏

 事前復興は、どんなに事前の防災対策を行っても被害をゼロにすることはできないという阪神・淡路大震災の教訓から学び、発展させることが出発点にあります。その中で減災と脆弱性の関係は重要なポイントです。また、気仙沼において東日本大震災の復興に携わる中で、ソフト・インフラとハード・インフラを含めたいわゆるプランニング・インフラ構築の必要性も痛感しています。

 事前復興まちづくりを要約すると、①長期スパンでの「災害想像力」をつける、②地域や組織の「対応シナリオ」をつくる、③シナリオに基づく「しくみやルール」をつくる、④想定される復旧復興課題を解決する柔軟な「方針図」をつくる、⑤復興まちづくり訓練の成果を防災まちづくりと地域防災活動に反映させ「備えを多重化」する、といえます。

 東京都の事前復興まちづくりは、1960年代以降の「防災拠点整備」、1980年代以降の地区を単位とした「防災まちづくり」へ発展、1995年の阪神・淡路大震災の教訓を受けて事前復興まちづくりがスタート。現在、東京都内の40を超える地区で数次のワークショップを含む「復興まちづくり訓練」を通して、長期スパンでの災害想像力を養う取り組みを進めています。

「東京都豊島区の復興対策について

東京都豊島区都市整備部都市計画課

係長 高橋 公喜 氏、橋田 真 氏

 

 豊島区では、首都直下地震の被害想定を含め、1995年の阪神・淡路大震災の教訓から再び同じ被災を繰り返すまちから災害に強いまちをめざす「事前復興」の必要性を認識。豊島区における復興対策の課題として、①復興マニュアルの策定、②復興に関する条例の制定、③事前復興ビジョン案の公表、④復興訓練によるひと育て、の4つの重要課題を掲げました。

 重要課題に沿って、復興マニュアルの一部を2011年7月に策定、目下その整備・充実を図っています。豊島区震災復興の推進に関する条例(2013年3月制定)において、予防、応急対策に加えて「復興対策」を明文化。事前復興ビジョン案は、被害想定とまちづくり将来像を重ね合わせた被災後の都市の復興方針案を示した上で、地区ごとに行う震災復興まちづくり訓練を通して、地域住民と被災後の復興イメージを検討、共有するものです。ひと育ては、出前講座等による普及・啓発と、復興訓練を通じて行います。特に復興訓練においては、復興市民組織の育成、地域協働復興の考え方・プロセスの習熟、平常時からの地域活動の醸成、復興まちづくり方針案の検討等を行っています。

第3講 テーマ 地域の安全を守る防犯まちづくり                            (2013 OCT. ちもんけん VOL.84)

2013年6月21日(金)13:30~16:30 名古屋栄ビル・特別会議室(12階)

「地域の安全を守る防犯まちづくり」

明治大学理工学部 教授 山本 俊哉 氏

 今回は「地域の安全を守る防犯まちづくり」というテーマに「科学的根拠に基づく地域協働」という副題をつけました。防犯まちづくりの原点として、戸建て住宅の安全が定説ですが、これには犯罪事例をデータ化し、危険度の高いところから有効な対策を講じることが必要です。ここから敷地の形状や近隣と犯罪事例の関連を分析したゾーン・ディフェンスという防犯環境設計が生まれました。

 防犯まちづくりにおいては、従来の事後対策から事前予防、しつけ、教育等を通じた社会的犯罪予防のほか、住宅の防犯対策や地域の巡回強化、見通しの確保など状況的犯罪予防の役割が重視されるようになっています。自助努力や個別対策の限界から、2002年頃から、従来別々に取り組まれていた防犯とまちづくりを相互に組み込んだ「防犯まちづくり」としての取り組みが始まりました。千葉県市川市など、各地で住民やNPO、行政等が一体となったモデル事業としての取組みが始まり、こうした活動を通じ、自助努力、日常的な活動などを基本とした防犯まちづくり活動が拡がっています。

「厚木市におけるセーフコミュニティの取り組み」

神奈川県厚木市危機管理部長 部長 倉持 隆雄 氏

 厚木市は神奈川県中央に位置する活気のある都市ですが、2000年代初頭には多発する犯罪も大きな課題でした。犯罪発生の要因分析に基づく対策として、住民を中心にしたパトロールや防犯灯の照度アップなど「見せる警戒」を強化。次に取り組んだのは、厚木市の中心街である本厚木駅周辺の賑わいと安全の両立です。街の魅力づくりと安全対策の連携協働を図るため、「一日中厚木で過ごせる街」をキャッチフレーズに市街地にぎわい懇話会からの提言を受けながら、体感治安不安感の解消を目指しました。

 こうした活動を通じ、①誰もが、安心して安全に、いつまでも健康に暮らせる社会の実現、②事件・事故の予防、③体感治安不安感の改善、④市民協働によるまちづくり、⑤信頼・絆の再生、⑥人口増、企業誘致・観光客の誘致によるセーフコミュニティ活動に取り組んでいます。交通安全や子ども・高齢者の安全など、テーマごとに設けた8つの対策委員会活動のほか、市内23地区の「セーフコミュニティ推進地区」における活動、WHOによるセーフコミュニティの認証取得、市内小学校における安全な教育環境づくりを目指す「インターナショナルセーフスクール」の認証取得など、セーフコミュニティ条例の制定などを通じ、総合的な安心・安全なまちづくりを進めています。